2016年02月20日

遥かなる彼方へ

「自然は、絵を描いている」。
私は撮影に向き合うときいつもそう感じている。

空や湖面、海、雪原、大地という途方もなく壮大なキャンバスに、雨や雪、氷、風、影、雲、霧という絵筆を使いながら。そしてそれらに太陽が「光」という彩をつけていく。
自然が描いた絵を、一番ドラマティックに見せてくれるのが夜明けと夕暮れ時。

小川原湖にキャンプした人が、「夜明けに感動した」という声をたびたび聞く。この湖では大きな波が立つことはめずらしく、比較的穏やかなことが多いようだ。そのため湖面は広大な鏡のようになり、そこにその日の空が映し出される。
それは青白い絵を描いたり、時には鮮やかな黄金色や真っ赤に燃える神秘的な朝焼けを創り出す。

この日、薄氷が張った湖は波ひとつ立たない穏やかな夜明けだった。小雪が舞い、辺り一帯に立ち込めた低い雲。期待とは大きくかけ離れたような天候だったが、日の出を迎えたころ突然穴が開いたように青空が現れはじめた。
水平線も消えていつもの見慣れた風景とはまったく違った「絵」を自然は描いていった。

私は遥か彼方へ、何か遠い想いを感じさせてくれそうなこの光景に、なぜか心が惹かれた。

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【写真説明】
2016年2月7日 6時44分  東北町 小川原湖 中央桟橋
空に穴が開き、静まり返った湖面に氷がほどよく紋様を描いた。
posted by Yasuji Nakano at 08:06| Comment(0) | 湖畔の夜明け

2016年02月17日

伝説の夜明け

小川原湖キャンプ場に二人の女性像がある。
野辺地町出身の彫刻家小坂圭二作「小川原湖姉妹像」で、この湖にまつわる伝説の主人公である玉代姫と勝世姫をモチーフにしたものと思われる。

この像はキャンプ場の道路沿いに位置し、人目につきやすいことからいつも通るたびに気になっていた。
「この小川原湖のシンボルをどう撮ろうか」と。

彫刻だからもちろん動かない。だからどう撮影しても同じようしか写らない。
ならば、ということで背景を変えることで、この像から受け止めるイメージが変わってくると考え、夜明けの時間帯に何度か足を運んでみることにした。

風景写真は「行ったから撮れる」という保証は何も無い。だが、行かないことには絶対撮れないことも事実。だから何度も通うしかない。

この日、着いたときは空一面が厚い雲に覆われていたが、太陽が昇るころになるとその雲も途切れて、青空が見えるようになった。しばらくすると頭の上の雲は白くドラマティックに照らされ、二人のシルエットが美しく浮かび上がった。

2月の寒空に、手の感覚が無くなるような寒い、寒い朝のことだった。

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【写真説明】
2016年2月1日 7時15分  東北町 小川原湖キャンプ場
生命感が感じられる写真になるように、光と背景さらに像のアングルと構図に悩まされ4回足を運ぶこととなった。
タグ:小川原湖
posted by Yasuji Nakano at 14:02| Comment(0) | 湖畔の夜明け

2016年02月03日

舞い降りた雲

小川原湖を何周もしたが、高い位置から湖面を見渡すことができる場所はかなり限定される。そんな中でこの湖畔橋からの景色は数少ない高い位置からの撮影ポイントであり、たびたびカメラを向ける人たちを見かける。

一月中旬、そろそろ氷が張るころと期待してその場所に行ってみた。だが岸辺にうっすらと雪が積もっただけで、湖面はまだ凍った様子も見られず私の期待は見事に裏切られた朝だった。

そもそも風景を撮るということは、自然現象をとらえることであって、自分の思惑どおりにはいかない。自分の目の前に繰り広げられる光景の中から、自分独自に感じとった絵を作っていかなければならないという基本的なことをつい忘れてしまう。

私は気持ちを建て直して、この場所でしばらく観察することにした。
時間が流れて太陽が昇りはじめたころ、突然水面に雲のようなものが現れた。
「け嵐」だ。
そしてそれは夜明けの太陽の光を浴びてだんだんと黄金色に輝き、まるで雲が水面に舞い降りたような独特な世界を創っていった。
なかなか見ることが出来ない突然の出来事を目の前に、私は全神経を集中してその世界に浸っていた。

DSC_0737-a2.jpg

【写真説明】
2016年1月13日7時9分  東北町 小川原湖 湖畔橋
突然現れた黄金色のけ嵐。地平線が消えて湖面と空が一体となるこのシーンは、予測しなかっただけに感動も大きかった。
posted by Yasuji Nakano at 18:16| Comment(0) | 湖畔の夜明け


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