2016年02月22日

彼方への道

もう夜明けに何度向き合ってきたのだろうか。

私はいつも暗いうちに現地に着いて夜明けを待つ。
人間も寝静まりまだ活動をはじめる前、音は何も聞こえない。
光も無い。車もいない。その世界に生命を感じさせるものは、何もないとさえ感じさせる湖畔の夜明け。

私はそんな世界にぽつんと一人立っていた。
ふとこの地球上にいるのは、自分ひとりだけかもしれないという錯覚さえおぼえる。それはまさに「神秘的な夜明け」という言葉がぴったりだ。

暗闇にもようやく目が慣れ、あたりを見回すと漁師が作った桟橋に降ったばかりの雪が積もっていた。真っ白な衣に包まれながらずっと沖へとその道を伸ばしている。

足跡もなく柔らかそうな雪に心惹かれながらシャッターを押しているうち、ふとこの桟橋は空に向かって伸びているように見えた。

まだ誰も歩いていないこの雪の道。その彼方には何があるのだろうか。
私の心は未知の世界へと走っていた。

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【写真説明】
2016年1月14日 6時25分  東北町 小川原湖 中央桟橋付近
幻想的な世界に、ずっと彼方まで伸びる桟橋。奥行き感を出し平凡な写真にならないように、アングルをかなり低くして撮影した。
posted by Yasuji Nakano at 08:40| Comment(0) | 湖畔の夜明け

2016年02月20日

遥かなる彼方へ

「自然は、絵を描いている」。
私は撮影に向き合うときいつもそう感じている。

空や湖面、海、雪原、大地という途方もなく壮大なキャンバスに、雨や雪、氷、風、影、雲、霧という絵筆を使いながら。そしてそれらに太陽が「光」という彩をつけていく。
自然が描いた絵を、一番ドラマティックに見せてくれるのが夜明けと夕暮れ時。

小川原湖にキャンプした人が、「夜明けに感動した」という声をたびたび聞く。この湖では大きな波が立つことはめずらしく、比較的穏やかなことが多いようだ。そのため湖面は広大な鏡のようになり、そこにその日の空が映し出される。
それは青白い絵を描いたり、時には鮮やかな黄金色や真っ赤に燃える神秘的な朝焼けを創り出す。

この日、薄氷が張った湖は波ひとつ立たない穏やかな夜明けだった。小雪が舞い、辺り一帯に立ち込めた低い雲。期待とは大きくかけ離れたような天候だったが、日の出を迎えたころ突然穴が開いたように青空が現れはじめた。
水平線も消えていつもの見慣れた風景とはまったく違った「絵」を自然は描いていった。

私は遥か彼方へ、何か遠い想いを感じさせてくれそうなこの光景に、なぜか心が惹かれた。

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【写真説明】
2016年2月7日 6時44分  東北町 小川原湖 中央桟橋
空に穴が開き、静まり返った湖面に氷がほどよく紋様を描いた。
posted by Yasuji Nakano at 08:06| Comment(0) | 湖畔の夜明け

2016年02月17日

伝説の夜明け

小川原湖キャンプ場に二人の女性像がある。
野辺地町出身の彫刻家小坂圭二作「小川原湖姉妹像」で、この湖にまつわる伝説の主人公である玉代姫と勝世姫をモチーフにしたものと思われる。

この像はキャンプ場の道路沿いに位置し、人目につきやすいことからいつも通るたびに気になっていた。
「この小川原湖のシンボルをどう撮ろうか」と。

彫刻だからもちろん動かない。だからどう撮影しても同じようしか写らない。
ならば、ということで背景を変えることで、この像から受け止めるイメージが変わってくると考え、夜明けの時間帯に何度か足を運んでみることにした。

風景写真は「行ったから撮れる」という保証は何も無い。だが、行かないことには絶対撮れないことも事実。だから何度も通うしかない。

この日、着いたときは空一面が厚い雲に覆われていたが、太陽が昇るころになるとその雲も途切れて、青空が見えるようになった。しばらくすると頭の上の雲は白くドラマティックに照らされ、二人のシルエットが美しく浮かび上がった。

2月の寒空に、手の感覚が無くなるような寒い、寒い朝のことだった。

DSC_1572-a.jpg


【写真説明】
2016年2月1日 7時15分  東北町 小川原湖キャンプ場
生命感が感じられる写真になるように、光と背景さらに像のアングルと構図に悩まされ4回足を運ぶこととなった。
タグ:小川原湖
posted by Yasuji Nakano at 14:02| Comment(0) | 湖畔の夜明け


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